Stg44は世界最初のアサルトライフルです

Stg44は世界最初のアサルトライフルです
Photo by logan foxy

AK-47、M16・M4は今の世界のアサルトライフルのベースになっている銃ですが、これに大きな影響を与えた銃があります。世界で初めて実用化されたアサルトライフル・自動小銃「Stg44」です。

sponser

Kar98k小銃とMP40短機関銃を併せ持つ銃として開発

第二次世界大戦のナチス・ドイツ軍の主力小銃はボルトアクション式のKar98k(写真上)でした。ボルトアクションはご存じの通り、一発撃つ度にボルトを引かなくてはいけなく、威力はありますが連射ができません。ドイツ軍は連射可能なMP40(写真下)という短機関銃も装備していまいたが、これはピストル弾を使用するため、威力は弱く中長距離では効果を発揮できませんでした。そこで、ドイツ軍はKar98kとMP40を組み合わせた、威力があって連射が可能な自動小銃の開発を始めます。

開発を行ったのはドイツの機関銃の基礎を築き「短機関銃の父」といわれる銃技師ヒューゴ・シュマイザーです。1942年に彼はMP-43と命名したアサルトライフルの試作機を開発し、1944年4月にはMP-44と名称を変えて少数の兵士に配備されます。1944年末にはSturm(嵐・強襲)、gewehr(銃)を意味するSturmgewehr44(シュトゥルムゲヴェーア)・Stg44と名付けら正式に配備されます。。

DENIX デニックス 1125/C StG44アソォールトライフル レザーベルト付

ライフルとピストルの中間の威力

Kar98kはライフル弾の7.92x57mmモーゼル弾、MP40はピストル弾の9x19mmパラベラム弾を使用しています。Stg44はこの2つの弾丸の中間である7.92x33mmクルツ弾という中間弾薬を使用しています。モーゼル弾より威力、射程は若干劣りますが、反動を抑え、連射時でも安定した射撃を可能とします。9mm弾よりは威力と射程も上回っており、100~300m前後の距離で十分な威力を発揮しました。マガジンの装弾数は30発で、これはKar98kの5発の6倍です。

当時、これだけの威力を誇り連射可能なのは機関銃だけでした。しかし、機関銃は重量10㎏以上あり、ドイツ軍の主力機関銃であったMG42の重量は11.6kg、ベルト給弾のため基本二人で運用され、据え置きで利用されるので機動力はありません。それに対しStg44の重量は5.2kgであり、一人で携行できる自動小銃として、戦場を変える銃として期待されます。

遅すぎた配備

Stg44は1944年末に実用化されると戦争が終わるまでに425,977挺が製造され、ドイツ軍に配備されました。しかし、これは時すでに遅しでした。ナチス・ドイツは1943年2月にソ連とのスターリングラード攻防戦に敗れると東部戦線において劣勢に立たされ、徐々にソ連軍に押し込まれます。西部戦線においても1944年6月にノルマンディー上陸作戦があり、米軍を主力する連合軍がフランスに上陸。この時点でナチス・ドイツ軍の敗北は決定的となります。Stg44が前線に配備されたのはこの後でした。

Stg44は戦況を変えたのか

劣勢に立たされ、物量的にも米ソが圧倒していました。ドイツの兵器産業はこの時には爆撃によって多くが破壊され、その上、物資も不足し大量生産ができない状況であり、戦況変える数のStg44を生産するのは不可能でした。そのため、Stg44が当時の戦場でどれほど有効であったかという明確なデータはありません。しかし、一つだけ興味深い事例があります。1944年12月の「バルジの戦い」にドイツ軍の第3師団と第5師団が投入されます。2つの師団は米軍の同じ部隊を相手にしましたが、第3師団は2500人を失い、第5師団は9000人を失いました。損害比は約4倍です。第5師団の方が規模は大きく砲兵の支援もあったのに損害が大きくなりました。なぜ、こんなにも損害に開きが出たのか、その要因の一つがStg44とされています。第3師団にはより多くのStg44が配備されていました。

Stg44はその後の戦場に影響を与えた

ライフル並みの威力を誇り、取り外し可能なマガジンを使い、初めて戦場に大規模に配備され、一定の成果を残した初の自動小銃としてStg44はその後の自動小銃の開発に影響を与えます。ソ連はStg44を鹵獲するとともに開発者のヒューゴ・シュマイザーを拘束し、武器開発を行わせます。戦後に登場したソ連の名銃カラシニコフAK-47はStg44と同じ中間弾薬の7.62x39mm弾を使うなど、AKシリーズの開発に影響を与えたとされています。また「アサルトライフル(Assault rifle)」という名前はSturmgewehrのSturm(嵐・強襲)、gewehr(銃)を英訳した言葉であり、Stg44をアサルトライフルの基礎となったことを表しています。

スペック

口径7.92mm
重量5.2㎏
全長940mm
銃身長(バレル)419mm
弾丸7.92x33mmクルツ弾
装弾数10/30発
発射速度500-600発/分
射程300m
銃口初速685m/s
sponser

https://sites.utm.utoronto.ca/historyinternships/blog/03182019-0228/birth-world%E2%80%99s-first-assault-rifle-sturmgewehr-44

sponser
Stg44は世界最初のアサルトライフルです
フォローして最新情報をチェックしよう!