英海軍は航空練習艦・病院船として活躍したアーガスを売りに出しています

英海軍は航空練習艦・病院船として活躍したアーガスを売りに出しています
Photo Royal Navy

イギリス国防省(Mod)とイギリス海軍は補助艦隊に所属するアーガス(RFA Argus)を売りに出しています。

イギリス軍の余剰武器を販売する国防省の防衛機器販売局(Defense Equipment Sales Authority)は新しい販売リストを今月初めに更新。そこにはフォークランド紛争から英海軍の艦船として活躍する”アーガス”が記載されていました。

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コンテナ船→病院船→航空練習艦→病院船

アーガス航空支援艦は他では見かけることがない、奇妙な変遷をたどった少し変わった艦船です。もともとコンテナ船として1981年にイタリアで建造されたたものの、1982年に「フォークランド紛争」が勃発したことを受け、軍に徴集され、輸送船・病院船として紛争に動員されます。その後、船は船主に返却されるも1984年にイギリス海軍が買い取り、正式に英海軍の船となり、「アーガス(Argus)」と命名されます。その後、改修され、船体後部にシーキングやチヌーク、アパッチといったヘリコプター、垂直離着機のBAe シーハリアーが離発着が可能な飛行甲板を設置。航空練習艦として海軍パイロットの訓練船として運用されます。

1991年に「湾岸戦争」が勃発すると、当初の役割であった病院船として派遣されることになり、レントゲン、集中治療室および外科手術のための設備、CTスキャナーと患者用の100台のベッドが追加設置されました。しかし、アーガスにはGAM-B01 20mm機銃、7.62mm機銃といった武装が搭載されているため、国際的には純粋な病院船としてはみなされておらず、赤十字のマークの記載もできず、戦争時は攻撃対象となっていました。

その後はヘリ空母、病院船として双方の役目を果たしながら、NATOの一員としてボスニア・ヘルツェゴビナ紛争やコソボ紛争に、人道支援としてアフリカのシエラレオネ沖でエボラ出血熱の治療といった任務にもあたってきました。2020年にはカリブ海でハリケーンの被害にあった国の支援と、麻薬密売の取り締まりも行っています。

アーガスは2024年の退役を予定しており、それを見越した今回の販売になると思われますが、今のところ、資金不足もあり、アーガスに代わる船の調達、建造計画はありません。

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Source
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1023378/DESA_Sales_Brochure_2021_-_NEW.pdf
https://www.royalnavy.mod.uk/our-organisation/the-fighting-arms/royal-fleet-auxiliary/casualty-ship/rfa-argus

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