米軍の次期分隊火器NGSW。あなたならどれを選ぶ?

米軍の次期分隊火器NGSW。あなたならどれを選ぶ?
©beretta

米軍では現在古くなったM4アサルトライフルとM249分隊支援火器に変わる次世代の次期分隊火器NGSW(Next Generation Squad Automatic Weapon)の選定の真っ最中だ。NGSWの候補は既に”SIG SAUER(シグ・ザウエル)”、”Textron(テキストロン)”、”General Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)”の3社に絞られており、この3社の銃を紹介する。

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NGSWとは?その要件は

M4とM249といえば、長らくアメリカ軍の主力小銃と分隊支援火器として活躍してきた銃で世界中の軍隊でも採用される優れた銃だが、採用から既に25年以上が経過しており、老朽化が進んでいる。NGSWは、現在の標準ライフルと分隊の機関銃を置き換えるプログラムになる。米軍から出された要件は小銃タイプのNGSW-Rと分隊支援火器タイプのNGSW-ARの2つの銃の開発。それには使用するサプレッサー(サイレンサー)、バイポッド、マガジンといった付属品も含まれる。また、口径はこれまでの5.56mmから6.8mmになり、使用する6.8mm弾の開発も含まれている。既に3社は開発を終え、米軍に納入、試験は始まっている。NGSWの計画は2022年の第1四半期(1~3月)に企業と銃を選定、2023年の第1四半期からM4とM249との交換を開始する予定になっている。拳銃は既にベレッタのM9からSIGのM17・M18に2019年から全軍で切り替えが始まっており、2023年には米軍装備が一新されることになる。

SIG SAUER(シグ・ザウエル)

SIG SAUER NGSW
©Sig Sauer

上が小銃タイプのNGSW-R、下が分隊支援火器タイプのNGSW-AR。
SIG社は3社の中でもっともスタンダードなデザインを採用しており、これまで米軍で使用してきたM16、M4といったAR-15系の伝統を受けついだ設計だ。使い慣れたデザインといってもいいが、次世代の新鮮さには欠けるかもしれない。ハンドガードとレシーバーに一体化したピカティニーレールシステムにサイドレールはマグプル社開発したM-LOKを採用し、拡張性と軽量化を実現。両利きに対応できるアンビシステムに折り畳み伸縮式ストックを採用するなど現在の最新モデルの設計を盛り込んだ。「NGSW-ARは軽量で、現在使用されているものよりも反動が大幅に少なく、NGSW-Rは世界中の主要な戦闘部隊に使用されているシグ社の製品の基礎の上に構築されています」とシグ社は語っている。銃本体、サプレッサー、弾薬、付属品まで全てSIG社で設計、開発されているのも強み。

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Textron(テキストロン)

Textron NGSW
©Textron

上が小銃タイプのNGSW-R、下が分隊支援火器タイプのNGSW-AR
Textron社はNGSWの開発に銃本体は海兵隊のM27を開発製造するドイツのヘッケラー&コック社、サプレッサーにはLewis Machine&ToolCompany、弾丸に関してはOlin Winchesterと複数の会社と協力している。レールシステムの基本的な設計はSIG社と同じ。Textron社の銃の最大の特徴はテレスコープ弾(CT弾)といわれる弾丸が円筒形のケース内に配置されている新しい弾薬を採用している点だ。これまでの真鍮製の弾丸と比較して37%軽量化されており、採用されれば歩兵の機動力や携行弾数に大きく影響するとされている。

6.8mm弾
Photo by Tactical life

Textron社は「精度と銃口速度の向上、および現在の陸軍システムに比べて武器と弾薬の両方の重量削減を特徴とし、機動性とパフォーマンスが向上。また、高度なサプレッサーテクノロジーを組み込んで、発火特性を低減し、制御性を向上させています。」 と述べている。

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General Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)

General Dynamics NGSW
©General Dynamics

上が分隊支援火器タイプのNGSW-AR、下が小銃タイプのNGSW-R。
General Dynamics(GD)社は銃の開発にBerettaUSAと、サプレッサーはDelta PDesignと協力して開発している。GD社の銃の最大の特徴はグリップと引き金より後方に弾倉や機関部を配置するブルパップ式を採用した点。ブルパップは全長を短くしながら銃身を長くしたり、反動を抑える効果があり、世界でも徐々に採用が広がっているタイプだ。だが、米軍ではこれまでブルパップ式を採用した実績がないのが引っ掛かるとところ。NGSW-ARの給弾方式は他の2社がベルト給弾を採用しているがGD社はマガジン供給式を採用した。マガジンは通常20~30ラウンドとベルト給弾よりも装弾数が少なくなるが、米海兵隊では消費弾薬の減少と従来の軽機関銃が目立ち狙われやすいことから、他の小銃と見分けがつかないM27 IARの配備を進めており、米海兵隊から見ればマッチしている。弾丸に関しては薬莢をポリマー製にして、軽量化を図っている。

この3つのNGSW、あなたならどれを選ぶ?

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