ベラルーシで破壊されたロシア空軍のA-50早期警戒管制機は9機しかない貴重な機体

ベラルーシで破壊されたロシア空軍のA-50早期警戒管制機は9機しかない貴重な機体
mod russia

ベラルーシの反体制派組織は、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領と戦うパルチザンが、首都ミンスク近くの滑走路で駐機中のロシア航空宇宙軍の機体を破壊したと発表しました。破壊された機体はA-50早期警戒管制機になり、ロシア空軍でも9機しか所有していない貴重な機体です。

sponser

ベラルーシの独立系メディアは26日、首都ミンスク郊外のマチュリシチ空軍基地で同日、二度の爆発があり、同基地に駐留するロシア空軍のA50早期警戒管制機が損傷したと報じました。爆発はルカシェンコ大統領政権に反対するパルチザンによる攻撃になり、無人機によって行われました。攻撃を行った2人のメンバーは無事に脱出し、既にベラルーシ国内にはいないと述べています。A-50は深刻な損傷を受けており、機体の前部と中央部、アビオニクスが損傷するなど飛行は不可能な状態であり、レーダーアンテナも損傷し、早期警戒機としての能力も失っています。ベラルーシ、ロシア当局ともにA-50の破壊について公式の発表を出していませんが、ルカシェンコ大統領は国内の警備監視を強めるよう指示を出しています。

sponser

A-50早期警戒管制機とは

A-50
mod russia

A-50早期警戒管制機はIl-76大型輸送機を改造する形で1978年から1985年にかけてベリエフ設計局によって開発された大型早期警戒機です。ソ連時代の1984年に就役し、現在、ロシア空軍が保有する唯一の早期警戒機です。2003年から2008年にかけて近代化改修が行われており、その機体はA-50Uとして就役しています。

早期警戒管制機(AWACS)とあるように、同機は偵察と空中目標の検知、ミサイル攻撃のターゲットの検出、空中攻撃の早期警告などに使用されます。大型レーダーを搭載し、弾道ミサイルで800km、爆撃機で650km、航空機であれば300km先まで探知追跡が可能で、ロシア、ベラルーシの空域からでもウクライナの幅広い空域をカバーできるため、ウクライナ侵攻が始まって以降、その広い探知範囲によってロシア空軍の航空作戦にレーダー監視能力を提供してきました。

sponser

広大なロシア国土を監視するため、ロシア空軍にはさぞ多くのA‐50が配備されているのだろうと思いましたが、配備されているのはA-50Uが6機と旧式のA-50が3機の僅か計9機のみです。その貴重な9機の内1機を今回、失い、しかも、それは改良モデルのA-50Uです。機体価格は3.3億ユーロ(約476億円)とされ、ロシア軍がウクライナ侵攻で失った機体としては最も高価な機体で、全体でもウクライナのミサイル攻撃によって撃沈した黒海艦隊旗艦モスクワの次に高価な兵器です。ロシアは後継のA-100早期警戒管制機の開発を行っており、当初、2024年に就役予定でしたが、経済制裁と侵攻に伴うリソース不足で開発は遅延、2026年以降に就役予定とされています。

ロシア軍はウクライナ侵攻当初、同盟国であるベラルーシを出撃拠点とし利用、首都キーウに近いこともあり、キーウを攻めた主力部隊はベラルーシから来た部隊でした。キーウ周辺から撤退後もベラルーシにロシア軍は留まり、ベラルーシ軍と合同軍事演習を繰り返すなど、キーウの再侵攻が懸念されています。

※追記

攻撃による損傷は軽微だったようで、A-50は飛行できる状態のようです。しかし、損傷していることに違いはないようで、警戒任務を行える状態ではないので、修理のため、ベラルーシを後にロシアへ帰投。ベラルーシ国境付近の防空に穴が開くことに違いはありません。

sponser
sponser
ベラルーシで破壊されたロシア空軍のA-50早期警戒管制機は9機しかない貴重な機体
フォローして最新情報をチェックしよう!