ロシア軍のA-50とIL-22の両指揮統制機への攻撃はウクライナ軍なのか?フレンドリーファイアなのか?

ロシア軍のA-50とIL-22の両指揮統制機への攻撃はウクライナ軍なのか?フレンドリーファイアなのか?

14日日曜、ロシア軍はA-50早期警戒管制機が墜落、IL-22空中指揮機が損傷するという大打撃を被った。ウクライナ軍は両機への攻撃を発表しているが、ロシア軍によるフレンドリーファイアという情報も取り沙汰されている。

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ウクライナ軍は14日、ウクライナ南部アゾフ海上空でロシアのA-50早期警戒指揮機(AWACS)を撃墜し、IL-22M空中指揮機に損傷を与えたと発表した。このニュースは政府内部関係者によって最初に明らかにされ、後にウクライナ空軍司令官ミコラ・オレシュチュク中将によって確認された。A-50の撃墜はほぼ確実とされているが、アゾフ海域周辺はロシア軍の制圧下にあり、墜落場所も洋上とされており、その残骸については確認できていない。IL-22もアゾフ海沿岸域で攻撃をうけたとされ、IL-22から発せられた救難信号の音声記録とされるものが公開され、搭乗員が黒海東部のロシアの都市アナパの飛行場に救急車と消防を至急求める要請を行いアナパに緊急着陸した。その際、損傷した尾翼の写真がSNSで拡散されており、IL-22は飛行することは不可能とされている。A-50の撃墜、IL-22Mの損傷が事実であれば、ロシア空軍はウクライナ南部で航空作戦を展開する上で重要な機体2機を同時に失ったことになる。

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A-50早期警戒管制機

ベラルーシで破壊されたロシア空軍のA-50早期警戒管制機は9機しかない貴重な機体
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A-50早期警戒管制機はIl-76大型輸送機を改造する形で1978年から1985年にかけてベリエフ設計局によって開発された大型早期警戒機。ソ連時代の1984年に就役し、現在、ロシア空軍が保有する唯一の早期警戒機になる。2003年から2008年にかけて近代化改修が行われており、その機体はA-50Uとして就役している。早期警戒管制機(AWACS)とあるように、同機は偵察と空中目標の検知、ミサイル攻撃のターゲットの検出、空中攻撃の早期警告などに使用される。大型レーダーを搭載し、弾道ミサイルで800km、爆撃機で650km、航空機であれば300km先まで探知追跡が可能で、ロシアの空域からでもウクライナの幅広い空域をカバーできるため、ウクライナ侵攻が始まって以降、その広い探知範囲によってロシア空軍の航空作戦にレーダー監視能力を提供してきた。ロシア航空宇宙軍に配備されているのはA-50Uが6機と旧式のA-50が3機の僅か計9機のみであり、内1機は昨年2月、ベラルーシの空港に駐機中、国内のパルチザンの攻撃を受けて損傷している。そして、今回、撃墜が事実であれば貴重な1機を完全に失ったことになる。改良モデルのA-50Uであれば、機体価格は3.3億ユーロ、日本円で500億円にもなる。

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IL-22M空中指揮機

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IL-22M空中指揮機は1950年代に開発されたIL-18旅客機をベースに1970年代から生産が始まった4発エンジン・プロペラの空中指揮機。航空機の指揮と制御、無線中継の両方に使用され、ウクライナとの戦争でロシア空軍を制御する上で重要な役割を果たしている。これまで約34機のIL-22が生産されており、ウクライナ侵攻前、ロシア空軍にはアップグレードされたIL-22Mが12機、旧式のIL-22が10機配備されていた。2023年6月に起きたロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者による「プリゴジンの乱」の際にはワグネルによってIL-22 1機が撃墜されている。

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2機はロシア軍によって攻撃されたとの情報も

2機はウクライナ軍が配備する防空ミサイルシステム「パトリオット PAC-2」の攻撃を受けたとされている。パトリオットはこれまで多くのロシア軍機を撃墜しているが、その最大射程は160km。今回、2機が攻撃を受けたのはアゾフ海になり、ウクライナ・ロシア両軍の前線からは100km以上離れている。完全な射程外ではないが、通常、早期警戒機や空中指揮機といった機体は友軍を支援することが目的であり、戦闘能力はなく、対空能力、機動性に乏しいので、基本は敵の攻撃範囲の安全空域を飛行する。そのため、ロシア系メディアや軍事ブロガーは両機は共にウクライナ軍ではなく、友軍によって攻撃されたと主張している。ロシア軍は確かにこれまでフレンドリーファイアで複数の味方機を撃墜した過去があり、それは不思議な話ではないし、アゾフ海の南にはロシア本土とクリミア半島をつなぐクリミア大橋があり、防空網は強化されていた。ただ、これは、ウクライナ軍の防空能力を証明したくないという虚言という声もある。しかし、2機はアゾフ海に面するウクライナの港湾都市ベルジャンシクを飛行していたという情報もあり、であれば、パトリオットが前線近くに配備されていれば撃墜することは可能だ。ただ、それでも100kmは離れており、ウクライナ軍が貴重なパトリオットを危険な前線に配備するかは疑問だ。また、ウクライナから放たれた防空ミサイルを迎撃しようとしたロシア軍のミサイルが誤って2機を標的として誤認したとの説もある。ただ、どれも推測の域はでない。ただ、ロシア軍が貴重な2機の航空機を失ったのは確かなのかもしれない。

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Source

https://www.kyivpost.com/analysis/26748

https://ts2.pl/en/alleged-friendly-fire-incident-results-in-loss-of-russian-a-50-plane

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