航空自衛隊の無人航空機部隊に配備されるグローバルホークとは?

sponser
Photo by us air force

防衛省・航空自衛隊は2021年度に自衛隊初の無人航空機部隊「無人機部隊(仮)」の新設を予定している。この部隊の創設と合わせて導入されるのがアメリカの無人航空機「RQ-4グローバルホーク」だ。

sponser

世界に遅れる日本

世界の空軍は無人航空機(UAV: unmanned aerial vehicle)・ドローンの割合を大きく増やそうとしている。この分野で先行しているのは米空軍で1995年からRQ-1 プレデターを配備投入していた。しかし、今ではロシア連邦軍、中国人民解放軍が急速に開発力を高めている。ロシアはステルスUAVや自律飛行、自律攻撃可能なUAVまで開発、中国には100以上のUAVメーカーが乱立し、激しい競争の中UAVの開発、戦力を増強している。各国、軍の人員削減が進む中UAV・ドローンを増やすことで人員をカバーしつつ、戦力の強化も図っている。
世界6位の領海・排他的経済水域の面積を持つ日本。近年は慢性的な人手不足で領域の監視業務もままならない自衛隊こそ、UAVを積極的に導入すべきなのだが、日本はUAV・ドローンにおいては後進国でだいぶ遅れている。自衛隊で導入されているのは民間レベルに毛が生えたような小型ドローンで軍用とはいえない代物だ。

関連記事

[adcode]8月3日、ロシア防衛省がステルス技術を搭載した新しい戦闘機ドローンの試験飛行の動画を公開した。 オホートニクと名付けらこの戦闘機ドローンはスホーイ社が開発した。スホーイS-70オホートニクのスペック[…]

ロシア軍が初のステルス戦闘機ドローン「オホートニク」を公開

自衛隊初の無人機部隊

防衛省は2020年の4月、航空自衛隊の青森県三沢基地への無人偵察機配備に向け、約70人規模体制の部隊を新たに編成することを国会に提出、了承された。2021年度中には無人航空機に特化した部隊が新設させる。創設に合わせて導入が決定しているのがアメリカの無人偵察機「RQ-4 グローバルホーク」だ。

グローバルホークとは?その能力は?

Photo by us air force

RQ-4 グローバルホーク(RQ-4 Global Hawk)はアメリカのノースロップ・グラマン社が製造する情報収集、警戒監視、偵察を任務とする高高度滞空型無人偵察機。米軍では監視プラットフォームの一部として2001年から運用されており、NASAやNATOにも導入されている。全長14.5m、翼幅は40mと翼幅は大型輸送機・旅客機と同等と無人機ながら非常に大きい。最大離陸重量は16トン以上、航続距離23,000 km、常用高度18,000 m。航続時間32時間と一回の飛行で約10万平方kmの範囲を偵察でき(韓国や北朝鮮の国土面積とほぼ同等)、有人航空機では難しかった長時間・広範囲の偵察行動が可能になる。航空自衛隊では3機の導入を決定している。

プラッツ 1/72 無人偵察機RQ-4B グローバルホーク プラモデル AC-4

偵察機であり、攻撃力は持たない

グローバルホークのカメラ映像

レーダー各種は合成開口レーダー、赤外線およびサーマルイメージング、電気光学イメージングに対応したセンサーを装備している。機体前方下部には巨大な望遠カメラレンズが搭載され高高度からターゲットの詳細な画像を撮ることができる。SIGINT呼ばれる機器を搭載することで通信の傍受と諜報活動も可能にする。偵察機としては十分な能力を有しているが、グローバルホークは一切の攻撃力を持っておらず、偵察に特化した機体だ。調べる限りフレアといった防御能力も見当たらず、攻撃を受ければ撃墜される可能性は高い。実際、2019年にイランを偵察中に撃墜されている。

実は既に日本に配備されている

米空軍機のブラックホークが東京の横田基地、青森の三沢基地に既に配備されている。ただ、これは常時ではなく、暫定的な配備で、グアムに配備されている機体が台風シーズンになると飛行できなくなる。稼働率を上げるため台風シーズンの5~10月にかけて、横田若しくは三沢基地に配備され、主に北朝鮮の監視の任務に就く。配備される時期には両基地で基地開放イベントがあり、見ることが可能だ(2020年はコロナで中止)。

横田基地で離陸するグローバルホーク
sponser
航空自衛隊の無人航空機部隊に配備されるグローバルホークとは?
フォローして最新情報をチェックしよう!