艦載機が一機もないタイ軍空母「チャクリ・ナルエベト」

写真 タイ王国海軍

航空空母とは軍艦の一種で、多数の艦載機を搭載し、艦上の長い飛行甲板を使って、海上であればどこでも航空機の離発着を可能とする海上を移動する航空基地です。空母は艦載機を運用することで戦闘能力を有し、その存在価値がある筈なのですが、艦載機を一機も搭載していない空母があります。それがタイ王国海軍が保有する空母「チャクリ・ナルエベト」です。

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東南アジア唯一の空母保有国タイ

写真 タイ王国海軍

微笑みの国といわれるタイは、東南アジアの盟主であり、周辺諸国と比べ経済的にも突出した国です。しかし、世界的に見れば中位ぐらいの国で、軍事力にしても東南アジアではインドネシア、ベトナムに次ぐ、三番手になり、軍事力的に目立ったものはありません。しかし、タイ軍は他国が持っていないものを持っています。それが空母です。実は空母は世界でも米国、中国、インドなど8カ国しか持っていない希少な艦船です。タイ海軍はその空母を1998年から保有しています。他の空母保有国が軍事大国な点で見ると、タイ軍を空母を持っているのは非常に奇妙です。1980年代に採択された国連海洋法条約に制定された排他的経済水域(EEZ)の監視と保護を目的に調達されましたが、タイの周辺には脅威となるような対象はおらず、安全保障の観点からも決して必要な船ではありませんでした。

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日本も空母を所有するのか?世界でも8か国しかない空母保有国

世界で最小の空母

チャクリ・ナルエベト空母は、スペインの造船会社イザール(旧ENバザン)によってタイ王国海軍のために建造されました。1994年に起工され、1997年に就役、1998年にタイ海軍に引き渡されます。現存する航空空母としては世界で最も最小で全長は182mで米海軍のニミッツ級の約半分程しかありません。基準排水量は1万トンとニミッツ級7分の1です。飛行甲板が174.6mx27.5mと短いこともあり、甲板の先は12度の勾配があるスキージャンプ型になっています。艦載機の搭載数数は最大10機、またはヘリコプターが15機が搭載できます。基本搭載数は艦載機6機とヘリ6機です。

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艦載機がない唯一の空母

現在、タイ海軍及び、タイ空軍にはチャクリ・ナルエベトから発艦できる艦載機がありません。チャクリ・ナルエベトは飛行甲板が短いこともあり、離発着できるのは短距離離陸ができる垂直離着陸機(VTOL)しかありません。導入した当初はスペインから中古のVTOL機ハリアーAV-8Sを9機を購入しましたが、老朽化と予算不足のため、2006年に運用を終え、それ以降、タイ軍は艦載機を一機も保有しておらず、チャクリ・ナルエベトは艦載機を持たない唯一の空母となります。つまり、これは空母としての戦闘能力を喪失したことになります。現在のところ艦載機を調達する予定はありません。

タイ軍にとっては優先すべきは陸続きの隣国カンボジアとミャンマー、ラオスの国境の防衛と、国内のイスラム過激派の対応であり、最優先とされるのは陸軍であり、昔から最も力があるのは陸軍とされています。

空母の用途

とはいえ、停泊しているだけでも莫大な管理運用費がかかり、活用しなければ宝の持ち腐れです。実のところチャクリ・ナルエベトの公式艦種は外洋哨戒ヘリコプター母艦であり、現在はヘリコプター母艦として、多用途ヘリのシコルスキーS-70BとMH-60Sナイトホークをヘリを搭載して、災害時の救助や海難事故の捜索などを行っており、重要な役割を担っています。

また、タイ王室の移動にも使われているとされています。

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艦載機が一機もないタイ軍空母「チャクリ・ナルエベト」
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