「宇宙作戦隊」とは2020年5月18日に航空自衛隊内に発足する自衛隊初の宇宙専門部隊。当初は「航空宇宙自衛隊」という名称を予定していたが、2020年5月8日に河野太郎防衛相は「宇宙作戦隊」に改めると発表した。
発足の経緯
防衛相は宇宙航空研究開発機構 (JAXA)とも協力して2020年度に宇宙領域を専門とした宇宙部隊「宇宙作戦隊」を航空自衛隊に新設する。令和2年度の予算の概算要求(524億円)にも盛り込まれている。これは、アメリカの宇宙軍の創設に伴い、宇宙空間においても日米同盟の連携強化を図る狙いがあり、当初は2022年度に予定していたが、アメリカの動きに合わせ前倒しした。
エンブレム
宇宙作戦隊の命名と合わせてシンボル・マークも発表されている。マークは『機動戦士ガンダム』の地球連邦軍を思い起こさせる十字のマーク。このマークには下記の意味が込められている。
1.正面の十字は、宇宙を象徴する「星」をイメージ
2.地球及び衛星軌道は、常続不断の監視をイメージ
3.6つの丸は、防衛省初となる宇宙監視専用レーダーを意味
4.合計20個の星は、2020年に部隊を新編したことを意味
任務
宇宙部隊の主な任務は増えるスペースデブリ(宇宙ゴミ)と他国の衛星を監視することだ。初期の任務は監視業務だけになり、集めた情報は米国との情報共有の上、実働は米宇宙軍が行う形になると思われる。また、目下の課題は宇宙空間から飛来するかもしれない北朝鮮の弾道ミサイルの監視だろう。隣国の中国、ロシアは既に宇宙専門部隊を発足しており、周辺国への牽制の狙いもあるだろう。
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宇宙の脅威
スペースデブリが、人工衛星の軌道上に飛散し、衛星を破損させる可能性がある。中国やロシアなど対衛星兵器(ASAT:Anti Satellite Weapon)を開発中ともいわれており、既に地上から発射されたミサイルで宇宙空間の衛星を撃墜する実験を成功させている。他にも衛星で他国の衛星を捕獲したり、ジャミングを起こして衛星を無効化するキラー衛星を開発しているともいわれている。2026年にはJAXAと協力して監視衛星の打上を計画している。
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2018/html/n13401000.html
拠点
拠点は、東京都の航空自衛隊府中基地に置かれ、レーダーは、山口県の海上自衛隊山陽受信所跡地に建設、2023年に実用化される計画になっている。府中基地には滑走路は無く、航空支援集団司令部、航空保安管制群本部、航空気象群本部、航空開発実験集団司令部などが置かれている。
隊員規模
宇宙作戦隊の隊旗です。航空自衛隊の部隊の隊旗は、マークはみんな同じです。1本線は二等空佐が指揮する部隊を表します。あとは部隊の人数によって旗のサイズが変わります。 pic.twitter.com/annLwxvfQ8
— 河野太郎 (@konotarogomame) May 18, 2020
初期の隊員規模は20人で、その後、70~100人規模に拡大を予定している。米宇宙軍の初期人員が16,000人と比較すると規模は非常に小さく感じる。
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source
https://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2020/0518/
https://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2020/0731/