スナイパーライフルの最大有効射程は1000~2000mが平均だ。環境や弾丸と精密機器との組み合わせで3000m程度の射撃にも成功することはあるが射手の技術に頼る部分が大きい。ロシアのロバエフ・アームズ社が開発するSVLK-14Sは有効射程で2500m、最大射程4,000mを誇る超レンジスナイパーライフルになる。
世界最強のスナイパーライフル
軍事技術で米国と共に世界をリードするロシアはAKシリーズやドラグノフ狙撃銃(SVD)といった世界的ベストセラーの銃をいくつも開発してきた。そのロシアが今度は世界最強のスナイパーライフルを誕生させた。Lobaev Arms(ロバエフ・アームズ)という会社が開発したSVLK-14Sだ。
ロバエフはボルトアクション式狙撃銃のメーカーとしてロシア国内で評価が高く、世界で最も正確なスナイパーライフルを作るといわれている。
最大射程は4km!?
ロバエフ・アームズは開発したSVLK-14S狙撃銃を「ゲームチェンジャー」と説明している。同社によると、SVLK-14Sは約3.2キロ離れた標的に命中することができる。この距離は現在の射撃記録の3,540mに匹敵する、最大射程はさらにそれを超えるものとされ、非戦闘環境下のテストにはなるが4,120m先の標的へ命中させており、これは世界記録になる。この時の標的までの到達時間は13秒にもなった。更に暗闇下でも同じく世界最長の1,920m先の標的に命中させている。まさしく戦場を一変させる「ゲームチェンジャー」となりえる銃だ。
SVLK-14Sは408 Chey Tac弾(10.36×77mm)、.377 Chey Tac弾(9.6×77mm)に対応するボルトアクション式ライフル。弾丸速度は毎秒900m。これは音速の3倍、つまり、マッハ3になり、撃たれた者は銃声を聞くことなくダウンすることになる。3,000m以内であれば3㎝の鉄板も貫通し、ボディアーマーを無効化、軽車両の装甲を貫通する。マガジン機構は無く、装弾数はチャンバーに装填される1発のみ。これにより干渉するパーツを減らし精度を高めている。ボディには強化多層カーボンファイバー、ケヴラー、バレルは800mmのスチールバレルが使われている。ロシアの銃らしくタフなつくりで氷点下40℃から摂氏65℃の環境化で問題なく使える。その銃の重量は9.6kgとこの手の威力、射程を誇る銃としては軽量化。しかし、高性能になった分、価格は3万ユーロ(350万円)と銃としては非常に高価で、大量生産は難しく配備される部隊は限定される。チーフエンジニアであるユーリ・シニキンキンは、SVLK-14Sはライフル界のフェラーリやポルシェなどのブランドを持つものであると述べており、軍用以外にもセレブのスポーツ、ハンティング用として売り出すことも検討されている。
スペックだけ見れば、現在のロシアの最強のスナイパーライフルになるが、実戦配備、運用実績はないため、戦場での実力は未知数にはなる。
スペック
口径:10.36mm
弾丸: .408/375 Cheytac
全長:1430mm
銃身:900mm
重量:9.6kg
http://lobaevarms.com/products/svlk-long-range-sniper-rifle/