アメリカ空軍のF-16戦闘機が12日、米国とカナダの国境にまたがるヒューロン湖の上空で、高高度を飛んでいた謎の飛行物体を撃墜した。この時、空対空ミサイルのAIM-9Xサイドワインダーを使用したのだが、実は一発で仕留めることができなかったことが分かった。
12日日曜、アメリカのミシガン州とカナダのオンタリオ州を隔てるヒューロン湖の水上国境上空に謎の飛行物体が出現。両国間の防空を担う合同軍事本部である北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD)の調整のもと、米空軍のF-16が撃墜のため出動。高度2万フィート(6100m)上空でこれを撃墜した。撃墜は4日、アメリカのサウスカロライナ沖上空、10日にアラスカ上空に現れた飛行物体を撃墜した時と同じ、AIM-9Xサイドワインダー空対空ミサイルを使用して撃墜した。過去の2つはF-22から放たれ、どちらも一発で仕留めている。しかし、今回の撃墜は様相は異なり、実はF-16はAIM-9Xの一発目を外していたことが分かった。
CNNなどの報道によればNORADのグレン・バンハーク司令官は一発目が外れたことを認め、飛行物体が小型であるため捕捉して照準を合わせるのが難しかったと述べた。4日の中国の気球はスクールバス3台分、全長は60mと的がある程度大きかったが、今回の標的はそれよりもかなり小さいとされている。レーダー誘導ミサイルで捕えることは難しく、機関砲は気球に穴が開いた後もしばらく飛行を続ける可能性がある。パイロットは、それらを踏まえ物体と周囲の温度差を感知できる赤外線誘導の短距離空対空ミサイルのAIM-9Xサイドワインダーを選択した。
USAFアメリカは4日、サウスカロライナ沖の大西洋洋上を飛行していた中国の監視気球を撃墜しました。撃墜には第五世代ステルス戦闘機のF-22と空対空ミサイルのAIM-9Xサイドワインダーが使用されました。2日にアメリカ本土上[…]
しかし、狙ったAIM-9Xの一発目は飛行物体を捉えることはできなく外れた。この事実について、撃墜した12日に米国防省は明らかにしていなかった。しかし、問題は外れた一発目がその後、どうなったか分からないということだ。AIM-9Xの最大射程は40kmにもなる。最悪地上にとも考えられるが、ヒューロン湖は北西から南東にいたる長さ331km,最大幅295kmという巨大湖、撃墜は陸地に被害及ばないよう沖合で実施されたものと思われ、湖の底に沈んでいる可能性は高い。撃墜された飛行物体もその後、湖に沈んだ。
飛行物体の大きさや詳細は発表されていないが、小型でレーダー断面積も小さく、おそらく熱源も少なかったと思われる。また北米の飛行物体の撃墜は1週間で4回目。気球のコストは不明だが、その度に高価な戦闘機を飛ばし、日本円で5000万円もするAIM-9Xを使っていては非常にコスパが悪い。今回は二発使ったので1億円だ。ドローン対策のように今後、気球対策の撃墜法も考えなければならならいかもしれない。
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