対物ライフル、またはアンチマテリアルライフル(AMR)と呼ばれるライフルは第一次世界大戦中に対戦車兵器として構想されます。ドイツ帝国は戦場に初めて登場した戦車、イギリスの”マークIV戦車”に対抗するために車体を貫通する兵器を求めて、1918年に最初のAMR”マウザーM1918”を開発します。その後、AMRは対戦車兵器として第二次世界大戦中、ナチスドイツのI号、II号、III号戦車に有効であることが証明され、イギリスは”ボーイズ対戦車ライフル”、ソビエトは”デグチャレフPTRD1941”を開発します。しかし、大戦末期から数十年のうちに戦車は重装甲化するなど防御力が大幅に進化します。AMRでは戦車の装甲を貫くことは難しくなり対戦車兵器としての役目を終えます。しかし、その優れた貫通力と長距離射程は今でも戦場では有効であり、AMRは軽装甲の車体への攻撃やスナイパーライフルとして使用され続けています。
現在のAMRは重機関銃と同じ口径の12.7mm、50口径が主流になっています。弾丸は重機関銃と同じ、若しくは専用弾丸を使い、それらは大型で重量があり、精密バレルから発射される、その弾丸は従来のスナイパーライフルよりも高威力と長い射程を擁します。現代のAMRにおいて最強といわれる5選を紹介します。
バレットM82
アメリカのバレット・ファイアーアムズ社が開発したボルトアクションライフル。弾薬はブローニングM2重機関銃と同じ.50 BMG弾((12.7x99mm NATO弾))を使用します。装弾数は10発、射程距離は1,800m。 世界で最も使用されているAMRであり、現在50以上の国の軍隊で使用されています。実績ベースでみれば、世界最高の対物ライフルです。
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TAC-50
アメリカのマクミラン・ファイアアームズが開発したボルトアクションライフル。.50 BMG弾を使用し装弾数は5発、射程距離は1,800mとされていますが、実際はそれ以上の長距離射撃を成功させており、その距離は最長3,450m、この距離は狙撃の世界最長記録です。カナダ軍はこれで狙撃距離の記録を数々塗り替え、世界記録Top5の内、3つがTAC-50によって達成されています。
出典:カナダ軍「世界最強の狙撃銃・スナイパーライフルは何か?」と定義づけするのは難しい。狙撃は高度な作業で銃だけではなく、射手の技量によるところも大きいからだ。しかし、優れた狙撃手は優れた狙撃銃を選ぶ。優れた射手との組み合わせで数[…]
AW50
イギリスのアキュラシーインターナショナルが開発したボルトアクションライフル。世界で最も優れたスナイパーライフルの一つAWM(L96A1)を50口径に改良したライフルです。.50 BMG弾を使用し装弾数は5発、射程距離は1,500m。重量は15㎏と他のAMRと比べて重い分、反動が抑えられ、ストックを折り畳み式にするなど携行性が高められています。ネイビーシールズ仕様でセミオートタイプのAS50もあります。
ダネル NTW
南アフリカのアエロテクCSIR社が開発したボルトアクションライフル。これまで紹介したAMRの口径は12.7mmですが、同銃はそれよりも大きい14.5mm口径のNTW-14.5、20mmのNTW-20の二つがあります。弾丸は航空機関銃にも採用される20 x 82mm(NTW-20)やソ連で開発された14.5 x 114mm(NTW-14.5)を使用します。装弾数は3発、射程はNTW-14.5で2,300m、NTW-20で1,500m。南アフリカ軍、インド軍などが配備しています。
KSVK
ロシアのV・A・デグチャリョフ記念工場が開発したボルトアクションライフル。ソビエト時代に開発された重機関銃・AMR用の12.7x108mm弾を使用し、装弾数は5発、射程距離は1,500m。他のAMRのバレル長が700mm前後のところ、同銃は1000mと長くなっていますが機関部を後方に置くブルパップ方式を採用したことで全長の長さは他のAMRと然程変わらず、精度を上げています。