防衛装備庁は昨年2024年10月に17機のCH-47チヌーク大型輸送ヘリを川崎重工業に発注したが、これらがCH-47の最新モデルであるCH-47F BlockIIで構成される事が分かった。BlockIIは2024年7月に米陸軍に最初の機体が納入された最新鋭モデルになる。日本は世界でも4か国目の海外採用国となる。
防衛装備庁は昨年10月、陸上自衛隊が要求する12機のCH-47JAと航空自衛隊が要求する5機のCH-47J、計17機のCH-47J/JAチヌークを川崎重工業に発注した。契約額は12機のCH-47JAが1611億円、5機のCH-47Jが714億円。合計2325億円になり、単純計算で1機あたり136.76億円になる。自衛隊が運用するCH-47は開発元のボーイング社からライセンス供与を受けた川崎重工業が国内で生産しているが、ボーイング社は今年1月、日本で新たに生産されるCH-47が、最新モデルであるBlockIIになる事、米国を除いては同機を採用する世界で4か国目の国となる事を明かした。
CH-47F BlockIIチヌーク
New year, new helicopter.
— Boeing Defense (@BoeingDefense) January 10, 2025
We delivered the @USArmy’s third production CH-47F Block II #Chinook — the newest configuration of the heavy-lift workhorse. Block II upgrades allow the Army to lift more, fly farther and maintain their aircraft better than ever before. pic.twitter.com/iFrjHgNYaM
CH-47は1960年代から運用が始まった大型輸送ヘリで、これまで述べ1000機以上が生産され、世界22か国で運用されるベストセラー機になる。全長は30m、タンデムローター機で12,247kgの積載能力を持ち、55名の兵員、軽車両を輸送できる。巡航速度は265km、最大1000km以上の航続能力を持つ。今回、自衛隊での採用が明るみになったCH-47F BlockIIはCH-47シリーズの最新バージョンで、2022年4月に開発元であるボーイング社で量産が始まり、2024年7月に初号機が米陸軍に納入さればかリの最新鋭機だ。世界でも米国、英国、カナダ、ドイツしかまだ採用していない。CH-47F自体は2005年に量産が始まったモデルでエンジン出力の向上、胴体強化、アビオニクスが更新され、自衛隊でも近年納入された機体はこのモデルだ。これを更に強化した”ブロックII”では再設計された燃料タンク、強化された胴体、改良されたドライブトレインなどの最先端技術を搭載、高温、高地での飛行性能が強化。機体とローターブレードに使用されている高度な複合材料は軽量化するだけではなく、耐久性とパフォーマンスが向上し、メンテナンスコストの削減を実現している。燃料搭載量は290リットル増加、更に空中給油能力が追加され、航続距離、作戦範囲は大幅に拡大されている。ペイロードも増えており、最大離陸重量はブロックIの22.7トンから24.5トンに増加している。生産元のボーイング社はCH-47F BlockIIは30年以上に渡って運用できると謡っている。同社では既にCH-47FブロックIの生産は終えており、現在はブロックIIの生産に移行されている。
自衛隊のCH-47J/JA
自衛隊は1986年からCH-47を運用しているが、自衛隊が使用するCH-47はボーイング社からライセンス供与を受けた川崎重工業がライセンス生産している。これらは自衛隊仕様でCH-47J/JAと呼ばれている。1995年に登場したCH-47JAはGPSと気象レーダーを追加、胴体ポッドを大型化して燃料搭載量を倍増した飛行延長モデルになる。川崎重工はこれまで100機以上を自衛隊に納入。現在、陸上自衛隊がCH-47J/JAを50機、航空自衛隊がCH-47Jを15機運用中だ。新しいCH-47F BlockIIの導入により、航空兵站・輸送・災害派遣の要としてCH-47飛行隊をさらに強固にする。