20式5.56mm小銃(HOWA5.56)|自衛隊の新小銃

20式5.56mm小銃
出典:豊和工業

ここ数年検討に上がっていた自衛隊の新しい小銃「20式5.56mm小銃」が2019年12月に正式に採用が決定。翌年の5月には完成品がお披露目された。新小銃は2021年度から陸上自衛隊に随時配備されていく予定になっている。

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選考過程

自衛隊の新小銃は20式5.56㎜自動小銃(HOWA5.56)、新拳銃はSFP9に決定!理由、価格は?
出典:陸上自衛隊

20式小銃の選定については参考品として平成30年度予算で国内メーカー豊和工業の「HOWA5.56」 、ドイツH&K社「HK416」、ベルギーFN社の「SCAR-L」が取得され、この3つの銃から最終的な選考が行われた。 HK416、SCAR-Lは米軍やヨーロッパ各国の軍で既に導入運用実績がある5.56x45mm NATO弾を使用する自動小銃で非常に評価が高い。方やHOWA5.56は豊和工業が新しく開発する自動小銃で、運用実績は無い。しかし、選ばれたのはHOWA5.56になる。

これまでの64式7.62mm、89式5.56mmと部隊導入時の年式と口径が名称に入る命名規則に沿って「20式5.56mm自動小銃」と名付けられた。

製造する豊和工業は現在の自衛隊の主力小銃「89式5.56mm小銃」を製造するメーカー。その前には戦後初の国産小銃「64式7.62mm小銃」も開発しており、 64年から50年以上に渡り、自衛隊の主力小銃を担ってきた日本の銃器開発を先導してきたメーカーだ。そういった意味では今回の選定も想定通りであり、日本の銃器開発の保護発展も踏まえた選定かと思われる。

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日本の実銃メーカー4社はきっちり棲み分けができていた

選定理由

選定の評価については、まず、第1段階評価として、有効射程や命中精度等の陸上自衛隊として必須とする性能を満たすかを実試験に基づき評価した上で、次に、第2段階評価として、「性能」、「後方支援」及び「経費」に係る比較を採点により実施した。第1段階評価においては、3機種全てが必須とする性能を満たしたため、第2段階評価として、3機種について、「性能」、「後方支援」、「経費」に係 る採点を実施した。その結果、最も性能が高かったのが 「HOWA5.56」だった。

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スペック

20式小銃
出典:豊和工業

20式小銃ではこれまで無かったマウント・アッパー・ロウアー・サイドレールが追加されたのが特徴だ。これにより拡張性が格段にアップした。ロウアーレールが付いたことで、アタッチメント式のグレネードランチャーGLX160 A1が初めて採用される。ハンドガードとアッパーレシーバーのピカティニーレールは一体化し、サイドにはM-Lokが採用された。

備え付きのフロント・リアサイトはフリップダウンし、スコープやサイトの使用を妨げない。ストック(銃床)についてはショルダーパッドとチークパッドを備えた5段階の伸縮式ストックを採用し、体格に合わせて調整が可能になった。左右どちらからでもセレクターやマガジンキャッチが操作できるアンビシステムも採用している。セレクターにはこれまでの伝統を踏襲して「ア-タ-レ」(安全装置‐単発‐連発)と刻印されている。マガジンは89式でも使っているSTANGマガジンを使用できるが、公開された時にはポリマー製で半透明の窓が付いた残弾が確認できるマガジンが公開されている。排水性や防錆性が向上しており、離島防衛など海上任務での作戦能力も向上した。
20式はようやく世界のスタンダードに追いついた小銃だ。

全長銃床縮小時:約779mm、伸長時:約85mm
銃身長(バレル)330mm
重量約3.5kg
口径5.56 x 45mm
弾丸5.56 x 45mmNATO弾
装弾数30発

価格

令和2年度に新小銃3282挺を10億円を調達する予算要求をしている。量産単価は一挺あたり28万円になる。89式小銃は20万円代後半から30万円代後半といわれており、調達価格はこれまで然程変わらない様子。ちなみに他のライフルの価格はというとHK416が3,399ドル(37万円)、SCAR-Lの価格は3,299ドル(36万円)。あくまで小売り価格なので軍の大量調達の場合は30万を切る価格になると思われるが、 評価基準に「経費」とあるように調達価格はHOWA5.56が最も低かったようだ。今後、管理運用費も含め439億円で15万挺の調達を計画している。当初は2020年度に納入される予定だった、2021年度に延期されている。

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SCARに似ているといわれるが

ネットの間ではSCAR(写真上)のパクりや似ているといわれているが、HK416、SACRもAR-15をベースに発展してきたモデルであり、この形は現在の主流で完成された形であり、各国の銃も似たり寄ったりだ。例えば下の写真はチェコのCZ 806 BREN(左)、韓国のDSAR-15P(右)だが、デザインは似ている。どちらも米国の同盟国であり、同盟国間でパーツやアクセサリーを共通化させる目的もあると考えられる。

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89式は時代遅れ

日本の実銃メーカー4社はきっちり棲み分けができていた
89式5.56㎜自動小銃
陸上自衛隊HPより引用

現在の主力小銃の89式はその名の通り1989年に導入されており、既に30年が経つ。89式には現在世界の小銃でスタンダードなピカティニーレールシステムが標準装備されていない。そのためスコープなど照準器の装着が限定されるため拡張性に劣る。ストックについても現在折畳み式のバージョンも出ているが、これも現在スタンダードな伸縮式のストックバージョンは無いと完全に世界の流れに置いてかれている。特に自衛隊のボディアーマーは分厚いのでストックが固定だと体が小さい女性や腕が短い人には非常に使いづらかった。

防衛省・自衛隊プレスリリース

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https://www.mod.go.jp/j/press/news/2019/12/26a_2_191226.pdf
https://www.howa.co.jp/products/firer/defense/product01.html

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